2006年5月24日(水)早稲田大学大学院「科学技術ジャーナリスト養成プログラム」にて、PCM紹介セミナーを実施しました。

 

 

2006年5月24日(水)、早稲田大学大学院政治学研究科「科学技術ジャーナリストプログラム」にて、PCM紹介セミナーを実施しました。

「科学技術ジャーナリストプログラム」は、科学技術への深い理解とジャーナリストとしてのスキルと批判精神を身につけたスペシャリストを養成する修士レベルのプログラムです。この度は、そこで医療と社会やリスク管理といった視点から指導されている若杉なおみ教授のクラスでのPCM紹介です。

今回は、今までのPCM紹介セミナーとは少々趣向が異なり、プロジェクト計画手法としてのPCMよりも、分析手法としてのPCMを主にご紹介しました。中心問題は「科学技術が適切に社会に伝わっていない」。大きくて複雑なテーマです。さて、この問題をどう分析し整理するか。学生さんたちの手腕が問われます。

モデレーター(講師)は、PCM Tokyoから大迫が参加しました。

熱のこもった、真剣なセミナーの様子をお伝えします。

 

 

まずは、「科学技術が適切に社会に伝わっていない」という大きなテーマをどう料理するかです。

テーマをほぐす必要がありそうです。

とりあえず、「科学技術が適切に社会に伝わっていない」といったときに思い浮かぶ問題を書き出してみました。

 

 

科学技術にもいろいろあります。

それを生み出す人々、伝える人々、受け取る人々。

問題も広範です。

 

出てきた問題を、生み出す側(研究者)、伝える側(メディア)、受け取る側(市民)の3つ分けて整理してみました。

複数の領域にまたがっている問題もあるので、分類もいまひとつ判然としません。

 

 

「科学技術が適切に社会に伝わっていない」では、問題分析のスタート地点である中心問題としては、漠然として大きなテーマすぎると思ったので、もう少し具体的な中心問題を探そうとしたのです。

ですが、どうもうまい中心問題がみつかりません。

難しいです。

が、皆さん、結構、楽しそうです。

 

結局、「科学技術が適切に社会に伝わっていない」を中心問題として、問題分析をやってみることになりました。

やれやれ、遠回りをしてしまいました。

ですが、やってみると結構具体的な問題が出てきて、分析は順調に進みました。

 

「科学技術が適切に社会に伝わっていない」という現状を分析するということは、そもそも、学生さんたちが、この「科学技術ジャーナリストプログラム」で何を学ぶべきなのか、どういうジャーナリスト、ジャーナリズムを目指すのかといった、根本的な問いかけをしていることになります。

 

目的分析に入りました。

誤報や片寄った報道を減らすにはどうすれば良いのか。

優れた専門知をもったジャーナリストになるには、どうすれば良いのか。

 

「科学技術ジャーナリストプログラム」はどういうプログラムであるべきか、という議論にもなりそうです。

 

 

社会人学生の方も多く、議論が経験に裏打ちされています。

活発でレベルの高い議論です。

 

ジャーナリスト、研究者、技術者と、幅広い人材を輩出している早稲田大学で学べるというのは、大きな利点ですね。

幅広い見識と、建設的な批判精神をもったジャーナリストを目指してください。

期待しています。

 

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今回のアンケートの結果です。(有効回答 9名)

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Q1. 今回のセミナーの内容に

 1. 非常に満足した。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3名

 2. 満足した。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  6名

 3. あまり満足しなかった。・・・・・・・・・・・・・  0名

 4. 全然満足しなかった。・・・・・・・・・・・・・・  0名

コメント

・短い時間で効率よくご教授くださいました。(1)

・PDMに落とし込むところまでやったほうがベター。(2)

・分析についてはKJ法等を利用してきたが、その先のプロジェクト計画についてのツールを
 具体的に実習したことがなかったので、勉強になりました。(2)

・最終段階まで行く時間があればよかったですが、イメージは把握できました。(2)

・初めてでしたので。(1)

・目的としていた状況の分析がよくできた。手法の全体が非常にわかりやすく理解できた。(1)

・次のステップに進みたいと思う。(2)

 

Q2. PCMは自分の仕事・研究に

 1. 使えそうだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6名

 2. あまり使えなそうだ。・・・・・・・・・・・・・・・ 1名

 3. (なんともいえない)  ・・・・・・・・・・・・・・ 2名

コメント:

・参加者が公平に尊重される。具現化できる。(1)

・同じ結論を導くのに、もっと効率の良い方法がある気がする。(3)

・PCMを手法として選ぶのが適切かどうかは疑問符が打たれる。(3)

・調査〜政策提言の際に使えると感じた。(1)

・ただし、事前の調査やメンバーのコネがあればこそですが・・・。(1)

・いまのところなし。(2)

 

Q3. PCMの本格的な研修を

 1. 受けたい。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7名

 2. 受けたくない。(興味ない)・・・・・・・・・・ 1名

 3. (なんともいえない)  ・・・・・・・・・・・・・ 1名

コメント:

・もう少し先になってプロジェクト計画をするようになったら受けたいです。(1)

・時間がかかりそう。(3)

・本格的に数日かけてやれば、より有意義だし、今よりPCMの意義を体感できそう。(1)

・各機関の共通ツールになっているのであれば・・・。(1)

・モニタリング・評価の部分を受けたい。(1)

・現段階では、PCMの手法を本格的に学ぶ必要性がないため。しかし、このような方法
 があるということを知られたことは有益であった。(2)

・モデレーターとしての tips を知りたいと思った。(1)

 

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質問1

PCMが得意とする領域と、不得手とする領域はありますか。

回答

特に得意な分野、不得手な分野というものはありません。ただ、PCMは問題解決型のアプローチですので、現状に問題がない場合や、問題が明確でない場合は使いにくくなります。そういった場合は、課題を問題の形に置き換えるといった工夫をしてPCMで対応するということが考えられます。ですが、PCMはツールですから、ツールに現状を合わせるのではなく、現状にツールをあわせるべきでしょう。つまり、KJ法のような機会発見型のアプローチを使うなど、現状に適したツールを使うということです。ツール(道具)はいろいろ持っておいて、必要に応じて最も適切なツールを繰り出せるようにしておくと良いですね。

 

質問2

ロジカルな人と、十分な情報があれば、参加者は誰でも良いのでは?

回答

今回は分析ツールとしてPCMを使ったのでそのような印象を持たれたかもしれませんが、PCMは本来プロジェクト計画ツールです。プロジェクトは現状をより良くするために、つまり現状を変えるために実施されます。ということは、プロジェクトによって生活が変わる(変えられる)人たちがいるわけです。そうであれば、その人たちが参加しているべきです。人の生活を、当人たちがいない場で、他人が勝手に変えてしまうというのは、やってはいけないことだと思います。現実にはやられていることかもしれませんが・・・。

 

質問3

PCM以外のマネジメント手法と、その適用範囲について、もっと詳しく知りたいと思いました。

回答

演習中に話が出た、システム思考、PRA、重回帰分析といった手法でしょうか。どれもここで簡単に説明するというわけにもいかないので、ご自分で調べてみてください。インターネットを検索しただけでもかなりのことは分かると思います。プロジェクトのマネジメント手法ということであれば、PMBOK(ピンボック)とか、P2M(ピーツーエム)といったものがありますが、これらは手法というよりも体系というべきで、しかも壮大な体系です。

 

今回は、いつもと趣向が異なり、大変興味深く、勉強になりました。

学校のプログラム策定など、PCMの新しい活用の道が見えてきたような気もします。

参加者のみなさん、セミナーを設定してくださった若杉先生、どうもありがとうございました。

ぜひ、これからもPCMを使ってみてください。

また、何かお役に立てることがあれば、喜んでご協力させていただきます。

2006年5月25日

大迫正弘